Eコマースだけじゃない。Amazonの人工知能開発まとめ。 | SiTest (サイテスト) ブログ

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Eコマースだけじゃない。Amazonの人工知能開発まとめ。

人工知能研究といえばGoogleの研究成果を取り上げられることが多いですが、人工知能が生活に与える影響、生活に入り込む容易さを考えるとAmazonの研究も無視することはできません。
今回のエントリは世界有数のEコマース企業として一般消費者である私達とも縁の深い、Amazonの人工知能についてまとめました。

Amazonの人工知能とは

Amazonは自社のディープラーニングソフトウェアをすでにオープンソース化して提供しています。
この「DSSTNE(ディスティニー)」はAmazonユーザーのショッピングを支援するためのもので、ユーザーに対しておすすめ商品をリコメンドするのにニューラルネットワークが活用されています。
DSSTINEの特徴はビッグデータによる解析だけでなく、スパース(少数)データの問題にも対応できるというもので、Googleの機械学習システム「TensorFlow」の2.1倍高速であると発表されています。

ハードウェアに組み込まれた人工知能

Amazonの事業ドメインは大きく3つあり、マーケットプレース、AmazonPrime、Amazon Web Servicesですが、新たなドメインとなり得るものが人工知能アシスタントの提供です。

Amazonでは現在1000人以上のスタッフが人工知能について取り組んでおり、Amazonの人工知能「Alexa」に対応したホームアシスタント「Echo」を販売しています。
Amazon_Echo
「Echo」はハンズフリーの音声認識エンジンを搭載したスピーカー型ホームアシスタントで、パーソナルアシスタントとして様々なサービスと連携することでより多くの「能力」を身につけていきます。

Echoの能力とは、「Alexa skills(アマゾン・スキル)」と呼ばれ、最初は13種類程度のラインナップからスタートしましたが現在は3,000以上に増加しています。
開発者向けのAPIであるAlexa Skills Kitを用いることでユーザー用のカスタムSkillを作ることができ、例えばピザを注文したり、Uberを呼ぶなど外部サービスと連携することが可能です。
人工知能自体の能力を高めるのではなく、どの連携できるサービスを拡張することが開発者たちの間でブームにもなっていて、機能開発が容易であることもアドバンテージとなっています。

実店舗でも実験を開始

Amazonはホームアシスタントによる引きこもり御用達のサービスを展開しているわけではありません。
実店舗でも新たな購買体験をユーザーに提供しようとしています。

Amazonのコンセプトストアは「Amazon Go」と名付けられ、カメラ・マイクなどの認識デバイスと人工知能によってレジ自体を無くしてしまう試みです。
このレジのない決済を実現しているのは「Just Walk Out」と呼ばれ、自動走行車に用いられる技術とよく似たものが使われており、具体的には、ディープラーニング、センサリング技術、認識デバイスです。
Amazon Goのコンセプトビデオが発表されています。

2017年にはシアトルで一号店がオープンする予定で、正式な開店はまだですがすでにAmazonの本社ビルに実店舗が併設されており、棚には商品が陳列されています。

実際の生活に組み込まれていくAmazon人工知能の強み

「Amazon Go」には自動車の自動走行技術とよく似たものが使われていると述べましたが、実際の自動走行車が公道を走行するのに比べると、遥かに問題となるハードルが低いことは明らかです。

問題が起きるとしてもせいぜい商品を手に入れたかどうかの認識が甘く、カートに入れた商品を読み取らなかったか、逆に店に戻した商品がカートから削除されなかったか、程度のことでしょう。
人工知能の活躍する将来には倫理的問題が立ちふさがる領域のものがある、と当ブログでは何度か解説しましたが、Amazonの提供するサービスにはそういった社会問題は起こりそうもありません。
この実際の生活をちょっと楽しく便利にしてくれる、といったコンセプトが外部のサービスとの連携を容易にしているのかも知れません。
さまざまなサービスとつながっていくことで能力を拡張していく、というAmazonならではの進化の仕方もまた、人間の生活に溶け込み不可欠となる人工知能の将来像を示してくれています。

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