時代とともに変化する消費者行動モデルを振り返ってみた
消費者が商品を知ってから購入するまでにたどる心理的プロセスを「消費者行動モデル」と呼びます。
消費者行動モデルには様々な種類が存在しており、AIDMA や AISAS などを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
時代とともにメディアが増えたために、ユーザーの購買行動の流れもそれに合わせて変化しています。その消費者行動モデルから自社のサイトや商品サービスをより効果的にアピールしていくためのヒントを得ることができます。
肝心なのは、その行動や心理がなぜ生じたのか、「なぜ」を掘り下げるという姿勢と視点をもって、消費者の行動を観察したり、データを分析することです。消費者のインサイトを取得し、その本質を突き詰めることで、効果的かつ持続的な施策を打ち出すことが可能になります。
今回は、消費者行動モデルの種類とその時代背景、そしてそれぞれの特徴についてご紹介いたします。
消費者行動モデルの変化
1970年〜 AIDMA、AMTUL
おもにテレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディア広告を使った時の心理的プロセスを表しています。
AIDMA は短期的な購買行動、AMTUL は長期的な購買行動を表しています。マス広告で注目と興味をそそり、購買の欲求を高め、記憶してもらい、店頭で購買してもらう、というプロセスです。
2005年〜 AISAS、AISCEAS
AISAS とは、1995年に大手広告代理店の電通が提唱して、2005年6月に同社の商標として登録された概念です。
この頃から徐々にインターネット上で情報を検索できるようになったことから、消費者は自分から情報を探せるようになりました。商品を購入する前に、「インターネットで商品を調べる」というプロセスが新たに加わっています。
AISAS、AISCEAS が発表された2005年には、パソコンでのインターネット普及率は77.4%(平成17年総務省調べ)となり、多くの人にとって、インターネットは当たり前の存在に変わりました。
2010年〜 VISAS、SIPS
自分と同じ価値観を持った人たちと気軽に交流できるソーシャルメディアの誕生で、消費者は売り手以外の存在からでも商品を知ることができるようになりました。
口コミの影響によって、消費者が行動する様子を表しています。
2015年〜 DECAX、Dual AISAS
従来の AIDMA や AISAS モデルにあった Attention(注意)は、単純な広告ではなく、「消費者が求めている情報」「消費者が共感してくれる内容」であることが重要になりました。
日本におけるインターネット普及率は83%(平成27年総務省調べ)となっています。スマートフォンでのインターネット利用者の割合は54.3%となり、パソコンでのインターネット利用者の割合の56.8%と、ほぼ同数に。また、インターネットの利用目的は、20〜30代では「メールの送受信」に次いで「SNS」を目的としていることが報告されています。
消費者行動モデル 各種紹介
AIDMA
●(短期的な)消費者の購買決定プロセス
AIDMA の法則とは1920年代にアメリカ合衆国の販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールが示した広告宣伝に対する消費者の心理のプロセスを示したものです。
注目して認知する
2. Interest(興味)
興味・関心を持つ
3. Desire(欲求)
商品を欲しくなる
4. Memory(記憶)
購入の動機として欲求が記憶に残る
5. Action(行動)
購入する
AMTUL
●(長期的な)消費者の購買決定プロセス
AIDMA が、短期的な購買衝動を説明するのに対し、AMTUL は、消費者のより長期的な心理の移り変わりに着目したモデルです。
認知する
2. Memory(記憶)
購入の検討材料として商品を記憶する
3. Trial(試用)
まずは試してみる
4. Usage(本格的な使用)
気に入れば繰り返し購入する
5. Loyalty(固定客)
ファンになる
ネットでの購買決定のプロセス AIDMA に「検索する」「共有する」が加わり、AISAS、AISCEAS モデルが誕生しました。
AISAS
日本の広告代理店の電通等により AISAS というモデルが提唱されました。
注目して認知する
2. Interest(興味)
興味・関心を持つ
3. Search(検索)
検索して商品について調べる
4. Action(行動、購入)
購入をする
5. Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)
商品の評価を情報共有する
AISCEAS
AISCEAS は、2005年にアンヴィコミュニケーションズの望野和美氏が提唱した概念です。パソコンや車などの購入を決定する前に慎重に検討するような高額商品や、検討する商品・サービスについての知識がない場合の消費者行動モデルとであるとされています。
注目して認知する
2. Interest(興味)
興味・関心を持つ
3. Search(検索)
検索して商品について調べる
4. Comparison(比較)
いくつか検索して比較する
5. Examination(検討)
比較した商品について検討する
6. Action(購買)
購入をする
7. Share(情報共有)
商品の評価を情報共有する
VISAS
VISAS とは、2010年に、ITビジネスアナリストの大元隆志氏が発表した概念です。
広告以外に、ソーシャルメディアをつかって情報共有・発信するという消費者の行動モデルが生まれました。購入後は情報を共有することで、口コミがさらに拡散して情報が循環していくプロセスを表しています。
口コミによって商品を認知する
2. Influence(影響)
口コミをしてきた人物に影響される
3.Sympathy(共感)
影響を受け共感する
4. Action(購買行動)
商品を購入する
5.Share(情報共有)
消費者が商品の評価を情報共有する
SIPS
SIPS とは、2011年に元電通社員の佐藤尚之氏が主宰する、生活者視点の次世代型ソリューションを提供しているユニット「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」が提唱した概念です。
「共感」した情報を消費者が広めていく構造です。
企業や知人の情報を通して商品に共感する
2. Identify(確認する)
共感した内容について検索や口コミを通して確認する
3.Participate(参加する)
共感したことで「いいね!」の行動や購入をする
4.Share & Spread(共有・拡散する)
参加したことを拡散する
VISAS、SIPS に共通する特徴は、「共感・共有」です。
あくまでソーシャルメディアを通したモデルなので、マーケティング戦略としては、従来の AIDMA、AISAS も同時に考える必要があります。
2015年頃に誕生した、コンテンツマーケティングの流れを表した消費者行動モデルが DECAX、Dual AISAS です。
DECAX
DECAX は、コンテンツマーケティングによって商品が購入される様子を表しています。
従来の AIDMA や AISAS モデルにあった、売り手が発信する Attention(注意)は、Discovery(発見)に変わっています。
有益なコンテンツを発見する
2.Engage(関係)
コンテンツの発信元(企業)と関係を深める
3.Check(確認)
発信元(企業)の商品を確認する
4.Action(購買)
商品を購入する
5.eXperience(体験と共有)
商品を体験して情報共有する
Dual AISAS
2005年に商標登録された、AISAS の Attention(注意)にあたる部分を、情報拡散のための Activate(起動・活性化)として、新しい AISAS に置き換えています。
消費者にとって「欲しい情報」を発信することで、「発見・拡散」してもらい、購買に結びつける消費者行動モデルです。
消費者行動モデルの例
AISCEAS
例:「タブレット端末を購入するまで」
●認知
普段見ているブログで、レジャー時に便利に利用していたのを読んで欲しくなった
●興味/検索
価格比較サイトで検索をかけてみた。
商品のランディングページをみつける。
「あなたにピッタリのタブレットは?タイプ別診断」というサイドバーに興味をもち、商品を「おすすめのタブレット」から知った。
(企業側の動き)
・検索エンジンで目に入りやすい見出しやメタディスクリプションの設定
・自社の製品情報ではなく、製品に関連する消費者にとって有益な情報の提供
●欲求
おすすめされたタブレットAが気になり、実際に店頭で触ってみて操作性を確かめた
操作性の良かったタブレットメーカーの HP でスペックを再度調べた。
タブレットB も操作性がよく、気になっている。
(企業側の動き)
・他社とのスペック比較表 品質が確認できる製品の詳細情報の充実化
・消費者のメリットが理解できる自社の製品情報を掲載
●記憶
タブレットA とタブレットB でなやんでいる。他にもあるかもしれないと他のサイトをみて調査を続ける。
(企業側の動き)
・メルマガ リターゲティング広告
・時間を空けすぎず、さりげなくフォローアップ
●購買・行動
メルマガでお得情報がとどき、クーポンをゲット
そのタブレット会社の公式サイトで購入
購入後に自分の SNS に写真付きで投稿
(企業側の動き)
・ワンクリックで購入できるURLの送付
・購入ページに直接飛ぶウェブ広告
・消費者の手間を最小限におさえた購入環境を整える
消費者行動を把握・理解・分析することの重要性
購入に至るまでの購買ステップを分解すると、ステップ毎に消費者が求めている情報が違うことがわかります。
もし認知段階の消費者に商品の購入ページに直接リンクを送れば、押し売りのようになってしまい、せっかくのユーザーが離れかねません。
消費者との会話のキャッチボールが成立すれば、購買ステップは着実に進み、消費者側から製品を購入したいという行動をおこしやすくなります。
そのため、人間の心の動きに注目するのは売り手側にとっても得策だと言えます。
消費者にとって購入する納得度が高ければ高いほど、自社製品・サービスの根強いファンを増やせる確率は上がります。
おわりに
売上は消費者の行動から生まれた成果物であることは間違いありません。
消費者行動モデルに当てはめながら行動の背後にある心理を掘り下げることによって、消費者に対するアプローチ方法とそのタイミングを絞りやすくなります。
この機会に、商品・サービスに合った消費者行動モデルを当てはめて、マーケティング施策を進めてみてはいかがでしょうか?
参考資料
・平成23年 情報通信白書 購買プロセスの変化
susintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc213330.html
・消費者行動が変化した今、「AIDMA」から「DUAL AISAS」へのモデルチェンジが起きている
http://markezine.jp/article/detail/22368
・2020年の消費者循環型マーケティングへの転換
http://www.yhmf.jp/pdf/activity/adstudies/sp_2015_03.pdf
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