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人工知能がソムリエに。データとワインの意外な関係

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ネットショッピングを楽しむたびにリコメンドされる様々な商品・・・たまに正直どれが一番自分にあっているのか逆にわからなくなる、ということすらありますが、思いがけず自分の欲しかったものにマッチした商品が見つけられるととてもうれしいものです。
このレコメンドエンジンにも、膨大な購買データを解析する人工知能が活用されています。
今回は、ネットショッピングにとどまらない、リアル店舗でも活用された人工知能についての話題です。

人工知能ソムリエ

伊勢丹新宿本店では人工知能がお客さんの味覚や嗜好を分析し、選んだ食事とのマリアージュも加味したワインを専門家のように選んでくれる人工知能が接客するという取り組みがありました。
人工知能はユーザーの好みにあったコーディネートを提案してくれるパーソナル人工知能としておなじみの「SENCY」。
このブログでも以前に登場したアプリケーションです。

ユーザーの試飲後の感想からひとりひとりの異なる味覚を数値化し、好みを予測して提案するというもので、2016年8月には「AI利き酒師」、2016年9月には「AIソムリエ」として導入されたのです。

どのように解析・提案するの?

方法は指定の3種類のワインを試飲し、ユーザーがレビュー項目にチェックを入れていくというもの。
「甘み」「酸味」「苦味」「余韻」「好み」といった項目に採点すると、ユーザーの採点をもとに「パーソナル人工知能」が生成され、ワインと合わせて食べたい食事を選ぶと、「AIソムリエ」がユーザーへのおすすめのワインを選んでくれます。

人工知能の学習には、お酒の専門家50人以上がワインを試飲したレビューがサンプルになっているとのこと。
プロの味覚をインプットして、個人にあったものをリコメンドしてくれているということです。

人工知能とワインの意外な縁

人工知能とワイン、と聞くと何を思い浮かべるでしょうか

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かつて伝統的なワインの世界に「データ分析」で大きな反響をもたらしたのがプリンストン大学の経済学者オーリー・アッシェンフェルターでした。
彼はフランス ボルドー地方の数十年に及ぶ気象データをもとに、生産年の月間降雨量や平均気温などのぶどうの栽培のファクターがワイン価格の高低とどのように相関するかを分析し、ある方程式を導き出しました。

ワインの質=12.145+0.00117×冬の降雨+ 0.0614×育成期平均気温‐ 0.00386×収穫期降雨

彼は、収穫期に雨が少なく夏の平均気温が高かった年はボルドーワインの競売価格が高くなり価値の高いのワインができるということを統計的に分析しました。
これは当時のワイン評論家からは大顰蹙を買いましたが、まだ試飲すらできていないワインに対しての予測を見事的中させ、その統計に基づく予測が正しいことを証明したのです。
(ちなみにアッシェンフェルターはビッグマック指数を発表した人物としても有名です。)

最後に

わずか20~30年前までは、天候などの統計をもとにワインの出来を予測するといったことすらなく、アッシェンフェルターの統計的ワイン品質予測は、まさに農家や職人などの専門家が「感と経験」で予想してきたことをデータで明らかにした先駆けでした。
まさか今度は味覚を数値化し、人工知能が統計にもとづいて個人の好みにあったワインを提案してくれるとは、アッシェンフェルターに想像できたでしょうか。今後も、人工知能はわれわれの想像だにしない進化を見せてくれることでしょう。

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