東京マラソンに警備AIを導入。人工知能がまちの安全を守る?
最近はオフィスビルや大規模イベント会場など不特定多数の人が集まる場所で、事故が起きた際の対処、被害拡大防止、そして犯罪の未然防止の需要が高まっています。
また国際情勢によって、もともとあまり警備が厳重でない場所や人物など「ソフトターゲット」を狙ったテロリズムへの対策強化も求められています。
その中で、人工知能を活用して人々のくらしの安全を守る警備システムが登場しているので、今回は人工知能を搭載した警備システムについていくつかご紹介いたします。
東京マラソンに警備AI
(画像元:http://www.marathon.tokyo/runner/)
2017年2月26日に開催される東京マラソンの警備に、人工知能によるコース上の危険を察知して警備員に伝える仕組みを試験的に実施しました。
コース上の監視カメラの映像や側道の観客がSNSを通じて発信する情報を人工知能が分析し、その情報を運営本部が沿道の警備員に伝達することで危険を未然に防ぐことができます。
なお、2018年にはコース上のマイクで音声情報も集めるなど、警備の強化をする方針です。
東京マラソン財団の早野忠昭事業担当局長は「AIを使ったシステムの完成は2020年の前くらいになる」と見込んでおり、さらに精度が上がれば、東京マラソンと同様に都心を走る2020年の東京オリンピック・パラリンピックで応用されることも期待されます。
警備AIの必要性
ボストンマラソンの連続爆破テロ
東京マラソン財団は2013年のボストン・マラソンで連続爆破テロが起きたことを受け、2014年大会から警視庁などと連携して警備救護プログラムを作成しています。
昨年は約6,000人の警備員(誘導員含む)や約70台の金属探知機などで警備しました。
小型カメラを頭に着け、リレー方式でコースを走って警戒する「ランニングポリス」の導入や、スタート地点で参加ランナーの一部に顔認証システムによる入場チェックを行うなどの工夫もしています。
箱根駅伝の警備ミス
今年の1月3日に開催された第93回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の復路で、規制にあたった警察官の連携ミスにより、マラソン選手と自動車があやうく接触しかけたニュースがありました。
ネットでは、「50m先で誘導しなければ意味がない」、「警察の誘導が遅いのが問題」といった誘導方法に疑問を投げかける声が殺到しました。
箱根駅伝の選手は幸いにも無傷でしたが、これが大きな事故になっていたら、今後のイベントにも影響がでていたでしょう。
いずれにせよ、大勢の人が集まるところにトラブルは起きやすく、予想だにしていない事が起こる危険性をはらんでいます。
NTTコミュニケーションズによる不審者検出
人工知能技術を利用して、複数のカメラで不審者を特定あるいは追跡するシステムを、NTTコミュニケーションズ(以下NTT Com)が開発しました。
これらの警備の精度を高めるため、ディープラーニング技術を採用しています。
2015年末から2016年初旬にかけて、綜合警備保障(ALSOK)とともに実験を行いました。
実験では、1つの映像から特定人物の特徴をAIが抽出し、複数の監視カメラの映像から同じ人物の候補を抜き出す機能を検証し成功を収めたと発表されています。
ドローンを使用した警備AIはすでに活用されている
アメリカ カリフォルニア州のAptonomy社は、ドローン「Aptonomy」をセキュリティ用途として展開しています。
Aptonomyには人工知能とナビゲーションシステムが搭載されており、低空かつ高速で飛行して障害物を回避し、人の顔や動きの検出ができます。
また、リアルタイムでのフライト監視が可能なため、遠く離れた警備員も警備場所の状況を把握します。
現時点の東京マラソンで使用されているドローンには監視カメラとして人間が操作しているのみで、ドローン自体が複雑な環境の下で自律的に飛行したり、人の顔を知覚したりすることはできません。
今後は東京オリンピックに備え、Aptonomyのように自律的に飛行し、警備員に異常を伝えるドローンを導入する可能性も大いに考えられます。
人工知能の情報に信頼できるか、がカギとなる
ネットやオフィス内システムのセキュリティにAIが導入されてきていますが、私たちが普段歩く道やイベント会場の警備にはまだ本格的に活用されていない印象です。
24時間いたるところを人間だけで監視し、さらに不審者かどうかを追い続けようとすればかなりのパワーが必要になってしまうので、そういう時にAIにサポートしてもらうのは理想的でもあります。
NTT Comの監視システムのように、街のいたるところにある監視ビデオにも人工知能が搭載され、不審者を発見したときに通報する、といったサービスが本格的に導入されるのはそう遠くなさそうです。
人間の現地の警備以外にSNS上での犯罪予告や、何かが起きたときにSNSを通じてアラートを出す人が増えていることもあり、情報伝達が速いというメリットはありますが、一方でデメリットも考えられます。
もしその情報がウソだったらどうなるのか、人工知能が運営本部に危険性を通知してもその分析結果を人間が危険だと判断しなかったらどうなるのかなど、最終決定するのはまだまだ人間の手が必要です。
運営側で正しい判断が出来るか、すぐに対応できるかなど課題はありそうですが、私たち人間の安全なくらしのためにも人工知能の通知情報の信頼性を高めていく動きが活発になりそうです。
参考資料
・東京マラソン財団「SAFE & SECURE」
http://www.marathon.tokyo/about/safe-and-secure/
・朝日新聞「箱根駅伝、選手とワゴン車あわや衝突 警視庁が規制ミス」
http://www.asahi.com/articles/ASK14574MK14UTIL01K.html
・毎日新聞「東京マラソンSNSや映像集約、AIで警備」
http://mainichi.jp/articles/20170128/k00/00e/050/265000c?fm=mnm
・Aptonomy HP
http://www.aptonomy.com/
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