コグニティブ・コンピューティング・システム「ワトソン」ってなんだ?
私達が開発するSiTestには、AI(人工知能)による多角的サイト評価を行い、ユーザーの動きやサイト改善のアドバイスを短時間で提供する「AIレポート」という機能があります。
こういった膨大なデータを短時間で解析し、文脈を判断し、改善点を提示するために人工知能の技術は欠かせないものです。
特にここ数年で人工知能の技術は飛躍的に発展し我々の生活にも急速に浸透しており、さまざまな分野での事例がニュースで見られるようになりました。
今回は、そんな人工知能技術を使った事例のうち、IBMが開発した人工知能※「ワトソン(Watson)」について、特徴的な4つの出来事をまとめました。
※Wikipediaによると、IBMはワトソンのことを『コグニティブ・コンピューティング・システム(Cognitive Computing System)』と定義しています。
コグニティブ・コンピューティングとは
Cognitive(コグニティブ)は日本語では「認知」という意味で、「ある事柄についてコンピュータ自身が考え、学習し、自分なりの回答を導き出す」ことが出来るシステムのことを指します。
チェスをはじめとした将棋、囲碁といった厳密なルールが存在する知能ゲームの分析は、それがどれほど複雑なルールであってもコンピュータにとっては得意分野です。
しかし、私達の生活する現実世界では、明確なルールが厳密に存在していることはごく一部、むしろそれとなく曖昧なルールが柔軟に使われていることのほうが多いのではないでしょうか。
私達の使っている言葉、自然言語はもっとも一般的で曖昧なルールで運用されているもののひとつです。
文脈や、ニュアンス、関係性によって意味を変え、ときとして当の人間ですら「言葉通りに受け取って良いのかどうか」悩むことすらあります。
このような定型的なデータ構造を持たない情報は非構造化データと呼ばれ、単に語彙(データ)と文法(ルール)を理解するだけでは不十分です。
ワトソンは、非構造化データである自然言語を解析するプロジェクトとして開発されています。
では「人間のように経験を通じて学習し、情報処理をする能力」をもつように開発されてきたワトソンは、いままでどのようなことにチャレンジしてきたのでしょうか。
ワトソンが今まで行ってきたこと
クイズ王に勝利
2011年2月16日
アメリカの人気クイズ番組「Jeopardy!(ジョパディ!)」に挑戦し、歴代チャンピオン2人に圧勝しました。
ワトソンが読み込んだ本や映画の脚本、百科事典などは合計100万冊におよび、公平を期すためにインターネット接続はしていませんでした。
データの蓄積という点では人間に比べコンピューターが有利なのは当然としても、世の中のデータの80%は非構造化データであり、今までのコンピューティングシステムではその意味を把握することは難しいとされてきたなか、曖昧な表現の設問なども多いクイズでの勝利はワトソンが「人間らしい曖昧さ」「言外の意味」を理解しつつあるとも言えます。
また、問題に解答するだけでなく、ゲームの状況を判断し獲得賞金の総額が他の解答者をリードしているときには賭け金を減らし、負けているときは多めにしたり、駆け引きもおこなってのゲーム最高金額を獲得しました。
参考記事:IBM 質問応答システム“ワトソン”がクイズ番組に挑戦!
料理のレシピを考案
2014年12月4日
東京・西麻布でワトソンが考案した料理のレシピを実際に作って披露するというイベントを開催されました。
ワトソンはアメリカの人気料理雑誌「ボナペティ」が掲載した9000種類のレシピを学習しており、人間のシェフが三つのキーワードをワトソンに与えると、その内容に応じたオリジナルレシピを考案。
2015年4月4日には「Cognitive Cooking with Chef Watson: Recipes for Innovation from IBM & the Institute of Culinary Education」(Chef Watsonの経験的知識に基づく料理:IBMとThe Institute of Culinary Educationが提供する革新のレシピ)というレシピ本を発売。これには65種類におよぶオリジナルレシピが収められています。
人間の料理人が思いつかないような斬新な食材の組み合わせも先入観なく扱うことから独創的なレシピが生まれるかもしれず、人間とコンピューターの協業の可能性を感じさせます。
ワトソンの考えたレシピは、日本ではクックパッドの特集ページから閲覧することができます。
参考記事:日本経済新聞 人工知能「Watson」考案の料理、有名店シェフが調理
医療プロジェクトに参画
東京大学医科学研究所が導入したワトソンが、白血病患者の特殊なタイプの遺伝子を10分で見つけ、患者の命を救いました。
抗がん剤が合わず症状の改善がない患者の遺伝子情報をワトソンに入力したところ、「二次性白血病」という特殊なタイプの症例であることが判明し、治療薬を変更することで回復。
これは人工知能が患者の治療に貢献した国内初のケースでした。
アメリカでもワトソンを医療現場でのがん治療に活用するための共同プロジェクトが発足しています。
がん患者のゲノム(全遺伝情報)の変異をもとに、ワトソンが患者個人に合った適切な治療法の選択肢を臨床医に提供する。こうした作業にこれまで数週間かかっていたのを、わずか数分に短縮できるそうです。
参考記事:日本経済新聞 AI、がん治療法助言 白血病のタイプ見抜く
IBM News release Clinicians Tap Watson to Accelerate DNA Analysis and Inform Personalized Treatment Options for Patients
映画の予告編を制作
リドリー・スコットが製作した人工知能(AI)をテーマにしたホラー映画『Morgan』の予告編をワトソンが作成しています。
ワトソンは、ホラー映画の予告編100本を分析し、ビジュアルおよびオーディオ的な特徴を見つけ出し、今回の予告編ムービーを編集しています。
背景に流れる音楽や、セリフのトーンに着目し映画全体から予告編にふさわしいシーンを抜き出して制作したのだそうです。
通常の人間の編集者によると10~30日必要な編集作業が、ワトソンは24時間で完成させています。
ワトソン作の予告編と人間の編集者による公式の予告編、ぜひ両方を見比べてみてください。
■ワトソンの作った『Morgan』予告編
■20世紀フォックスによる公式トレーラー
wired 「人工知能がつくった映画予告編」と「人間がつくった映画予告編」を見比べる
最後に
最初はデモンストレーション的に人間とクイズで競い、勝利したワトソンが次第に人間の業務領域に入り込み活用されていく軌跡は、2045年(諸説あります)におきるとされるシンギュラリティを予感させるのに十分なパフォーマンスです。
紹介したトピックスの他にも、知育玩具での活用、銀行窓口オペレーションなど、我々の生活に取り込まれるスピードはさらに加速しています。
クイズでは文脈の理解、レシピでは人間に無い視点での提案、がん治療では短時間での膨大なデータの照会、映像制作では特徴を抽出して構成するなど、事例での活用シーンは専門性の違いこそあるものの、膨大なユーザーのサイト内行動を分析し、改善提案・ABテストの実行を行うことのできるSiTestと近いものを感じますがいかがでしたでしょうか。
IBMはこのワトソンを第三世代のシステムと位置づけ、「これからは、コマース領域やモバイル・ソーシャルメディアの領域で、非構造化データが増える。このデータをうまく使えるかどうかで、企業が勝者になるか敗者になるかが分かれる」と述べています。
出典:BCN Bizline 2012/03/01 12:33
米IBM、「第三世代のコンピューティング時代が来る」、年次イベントでロメッティ新社長がメッセージ
人口知能の進歩のスピードに負けないよう、今のうちから人工知能をどう使いこなし、人間ならではの創造性を発揮できる業務にシフトできるか、私たちも同様にスピードアップが求められているのかもしれません。
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