ヒット曲を予測し、アーティストを効率的に売り込む人工知能
娯楽のひとつでもある音楽。
実店舗に行き、いろいろな音楽を視聴したり、ジャケット買いをするのが楽しいという方も一定数いると思いますが、
Spotify, Amazon ミュージック, Google Play Music などといったストリーミングサービスが続々と登場し、
聴きたい音楽を、すぐに聴きやすい環境になってきています。
それは、PC・スマートフォンといったデジタルデバイスの所有率やインターネットの普及率の高まりによって、音楽業界でデジタル化が進んだことによります。
今回は、音楽業界に進出し始めた人工知能についてお話ししたいと思います。
音楽配信とは
インターネットにおける音楽配信とは、ネットワークを通して音声ファイルを配布、販売するシステムのことです。
CD の売上は年々減り、ストリーミングの売上が増えている
日本レコード協会( RIAJ )が、2017年第1四半期(1~3月)の有料音楽配信売上実績を発表しました。
(出典:https://www.riaj.or.jp/f/data/annual/ar_all.html)
オーディオレコード(主に CD など)の売上は、過去10年間を見ると概ね右肩下がりであることがわかります。
では、以前と比べてユーザーが音楽を聴かなくなったか、と言われるとそうではないようです。
RIAJ では現在の市況動向に即して、2017年調査から音楽配信売上の統計区分を一部見直し「ダウンロード」と「ストリーミング」に分けました。
音楽配信の売上推移をみると、着うた、待ちうたなどの音楽ダウンロードが盛んだった2007年~2010年と比べると2016年は売り上げが下がっていますが、ストリーミングサービス(サブスクリプション)の売上は2013年から年々増えていることが分かります。
(画像元:日本レコード協会「日本のレコード産業2017」より)
人工知能を活用したビッグデータ解析システムが持ち込まれる
スイスとスウェーデンを拠点とする新興企業、ユートピア・ミュージック・グループ
( Utopia Music Group )が、人工知能を活用したビッグデータ解析システムを音楽業界に持ち込みました。
特定のアーティストの曲がどこでどのように流れていて、どこに売り込めば最も効果的かといった情報を、瞬時に提供していく計画です。
ユートピアの創業者であるマティアス・ヘルムシュテット氏は、「我々は新しいタイプのレコード会社だ」と話します。
従来のレコード会社と同様に、コンサートをプロデュースしたり、アーティストの移動手配など後方支援を請け負ったりも行いますが、それに加え、Facebook や Twitter, Instagram などから集めたデータを蓄積・分析する人工知能ソフトウェアも提供するとのことです。
仕組みは、特定のアーティストの曲がどこでどのように流れていて、どこに売り込めば最も効果的かといった情報を打ち出すというもので、
YouTube、ラジオプレイリスト、音楽ストリーミングサービスからの情報を補完することで、ミュージシャンの売り込みが最も機能している場所がわかるようになります。
これにより、マーケティングキャンペーン、ライブコンサート、プロモーションに関するより良い意思決定で収入を増やすために使用できると期待されいます。
さらに、ヘルムシュテット氏は、マイアミで開催されたウィンターミュージックカンファレンスに先立ち、「音楽の世界は非常にデジタルなので、マーケティングの結果を本質的に見ることができる」と述べています。
人工知能がヒット曲を予測
過去にも、人工知能がヒット曲を予測するサービスは存在しています。
ヒット曲予測をする Music Xray です。
ヒット曲予測システムについては、Polyphonic HMI が研究したヒットソング・サイエンスをベースとしており、「約300万曲のデータベースを元に70の要素を分析し、60のヒット曲クラスタを導き出す」というものになっています。
加えて、それぞれの楽曲に対して「 composition 」「 production 」「 arrangement 」
「 performance 」 というラベリングも実施し、最終的に「ヒット曲予測」をクラスタにもとづいて算出する、といったものです。
2010年には、日経ビジネスでもヒットソング・サイエンスについて取り上げていましたが、ヒット曲を予測する精度はあまり高くなく、予測が大ハズレするというケースもありました。
しかし、自動的にヒット曲予測までできなくとも、リアルタイムで何が起こっているかを客観的な指標で理解できる点では、今後の音楽業界でのマーケティングには一定の貢献すると考えられます。
今後どのような影響が考えられるか?
1. コンサート事業が重要な収益源に
ストリーミングサービスの普及によって CD の売上が下がっている現状において、音楽ビジネスの収益モデルの要として「ライブパフォーマンス」への注目が高まっています。
以前は CD を売る事をメインに赤字覚悟で行っていたコンサートから、チケット販売やグッズ販売からの収益をメインするモデルへ変容を遂げており、「事業」としてのライブパフォーマンスが重要になってきています。
この変化は、上記のユートピアのニュースでも紹介されているとおり、既に始まっています。
今後はインターネットを通して蓄積したデータを活用してファンを獲得し、ライブを通じてマネタイズするモデルが主流になって行く可能性が高いと考えられます。
2. アーティストのボーダレスな展開
デジタル配信がより進めば、アーティストによる「海外展開」がより一層しやすくなります。
昨年、大ヒットした「 PPAP 」は、YouTube の動画を、ジャスティン・ビーバーさんが見つけ拡散したことで、ブームに火が付いたのは記憶にも新しいところです。動画と楽曲をネット上にアップし配信しておけば、自分でも気づかなかったようなところからのファンの獲得や、活動のオファーが来る事が、今後も大いにありえます。
参考資料
・日本レコード協会
http://www.riaj.or.jp/
・日本レコード協会:日本のレコード産業2017 (PDF)
https://www.riaj.or.jp/f/pdf/issue/industry/RIAJ2017.pdf
・日経ビジネス:「ノラ・ジョーンズの大ヒットをシステムが予測した」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100820/215888/
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