GA4 でクリックイベントを設定する方法を解説!ユーザー行動を可視化してウェブサイトの改善に活かす
Google アナリティクス 4 ( GA4 )では、様々な行動をイベントとして測定することで、ユーザー行動の詳細な分析ができるようになります。
本記事では、イベントの中でも利用頻度の高いクリックイベントの設定方法について解説します。
目次
- GA4 のイベントとは
- クリックをトリガーとする自動測定イベント
- クリックイベントを追加で測定するメリット
- GA4 でクリックイベントを測定する方法
- 測定したクリックイベントの確認方法
- クリックイベントを測定する際の注意点
- クリックイベントに関するよくある質問
- さいごに
GA4 のイベントとは
GA4 では、ウェブサイト上の行動をイベント単位で測定しています。
代表的な例としては、ページビュー( page_view )やセッションの開始( session_start )などがあげられます。
従来のユニバーサルアナリティクス(UA)では、イベントはカテゴリ、アクション、ラベルの3要素で構成されていましたが、GA4 ではイベント名とイベントパラメータというシンプルな構造に変更されています。
本記事で紹介するクリックについても、GA4 ではイベントのひとつとして測定が行われます。
関連記事:Google アナリティクス 4 のイベントを理解しよう!計測・設定方法を解説
クリックをトリガーとする自動測定イベント
特定の条件下で発生するクリックイベントの中には、複雑な設定を行わずとも、GA4 の標準機能として、自動で測定されるイベントがいくつかあります。
具体例としては、以下の4つのイベントがあげられます。
■ ファイルダウンロードを測定する「file_download」
■ フォーム送信ボタンのクリックを測定する「form_submit」
■ YouTube動画の再生開始を測定する「video_start」
これらのイベントに該当しないクリックを測定するためには、独自で設定が必要になります。
外部リンクへの遷移を測定する「 click 」
click はリンク要素のうち、外部ドメインに遷移するリンクのクリックを測定するイベントです。
このイベントは、「離脱クリック」と言われ、このイベントが多い場合には「別のウェブサイトへの流出が多く発生している可能性があるのではないか」といった分析ができます。
ファイルダウンロードを測定する「 file_download 」
file_download は、ウェブサイトに訪問したユーザーが、特定の拡張子をもつファイルに遷移するリンクをクリックを測定するイベントです。
該当する拡張子は、以下の正規表現に一致するものです。
pdf|xlsx?|docx?|txt|rtf|csv|exe|key|pp(s|t|tx)|7z|pkg|rar|gz|zip|avi|mov|mp4|mpe?g|wmv|midi?|mp3|wav|wma
フォームの送信を測定する「 form_submit 」
form_submit は、ウェブサイト内にあるフォームの送信が行われた場合に測定されるイベントで、一般的には入力フォームの送信ボタンクリック時にイベントが測定されます。
ただし、パソコンのエンターキーの押下や、スマートフォンでのキーボード操作などによって送信される場合など、クリックではない操作によるイベントも含まれるので注意が必要です。
YouTube 動画の再生開始を測定する「 video_start 」
動画エンゲージメントを測定するイベントのひとつである video_start は、JS API サポート が有効になっている YouTube 埋め込み動画の再生が開始されたタイミングでイベントが測定されます。
一般的には、YouTube の動画再生ボタンをクリックした際にイベントが測定されます。
ただし、自動再生が設定されている場合などでは、クリックによる発生ではない場合もあるので注意が必要です。
クリックイベントを追加で測定するメリット
クリックイベントを設定するメリットを整理すると、以下の3点があげられます。
■ 推奨イベントの実装
■ 施策の効果検証
ユーザー行動の可視化
クリックイベントを測定することでユーザー行動をより鮮明に可視化できます。
ウェブサイト内でのユーザー行動は、ページの閲覧とクリックが大部分を占めています。
閲覧中のページから、どうやって次のページに遷移したのか、どの要素をクリックしたのか、といった視点はウェブサイト上の課題発見に大きく役立ちます。
推奨イベントの実装
GA4 には、Google が設定を推奨している、ウェブサイトの分析に重要なイベントがいくつかあります。
例えば、e コマースのウェブサイトでは、以下のようなイベントが推奨されています。
■ add_to_wishlist:ユーザーがあとで買うリストに商品を追加したとき
■ select_item:ユーザーが商品やサービスのリストから商品を選択したとき
上記のイベントは、すべてクリックを伴います。
e コマースのウェブサイトでは、クリックイベントの追加の設定が必須と言えます。
施策の効果検証
ウェブサイト上にバナーや、リンク要素を追加したときの効果検証として役立ちます。
例えば、トップページにキャンペーンバナーを追加する施策を行ったら、どれだけクリックされたのか、そのクリックからコンバージョンにつながったのか、といった効果検証が重要です。
その際、クリックイベントを測定しておけば、GA4 で簡単に施策の効果検証ができます。
GA4 でクリックイベントを測定する方法
GA4 でクリックイベントを測定する方法は、自動で測定されるイベントと、独自で設定が必要なイベントとで異なります。
自動で測定されるイベントの設定方法
先述したような自動で測定されるイベントは、GA4 の「拡張計測機能イベント」を有効化すると、測定できるようになります。
有効化の手順をご説明します。
まず、[管理] > [データストリーム]の順にクリックし、クリックを測定したいデータストリームを選択してください。
すると、データストリームの設定画面が開きます。
中腹に「イベント」のセクションがありますので、その中の拡張計測機能を有効化してください。
これで設定は完了です。
なお、最近作成されたアカウント、データストリームであれば、最初から有効化されていますが、古いアカウントの場合、フォーム送信のイベントのみオフになっていることがあります。
同じセクションの歯車マークをクリックして表示される、拡張計測機能の詳細を確認してください。
拡張計測機能によって測定されるイベントごとに有効、無効を管理できるので、すべて有効化されているか確認してください。
独自のクリックイベントを測定する方法
自動で測定されるイベント以外の、独自のクリックイベントを測定する方法は、ウェブサイトに HTML ソースコードに直接イベントタグを記述する方法と、Google タグマネージャー( GTM )を使用する方法の2つがあります。
順に解説します。
ウェブサイトの HTML ソースコードに直接イベントタグを記述する方法
ウェブサイトに GA4 専用のイベントタグを記述することで、クリックイベントを測定できます。
イベントタグ自体は以下のような構成になっています。
※ 内容は例です。イベント名やイベントパラメータの文字列は任意で変更してください。
gtag("event", "click_link", {
// イベントパラメータを key : value で記述。複数ある場合はカンマ区切りで記述
link_text: "お申し込みはこちら",
link_url: "https://hogehoge.jp/"
});
上記のイベントタグは、以下のようなデータを GA4 に送信します。
■ イベントパラメータ:
・link_text = “お申し込みはこちら”
・link_url = “https://hogehoge.jp/”
重要な点はイベントパラメータです。
ページビュー( page_view )イベントに、どのページを閲覧したのかを示すページ URL (page_location)を格納したイベントパラメータが紐づいているのと同様に、そのクリックがどのようなクリックなのかを示す情報として、クリックした要素のリンク先や、テキストなどを紐づけておくと分析がしやすくなります。
イベントタグをどのように設置するかについては、ウェブサイトの仕様や、測定したいイベントの内容によって変動します。
例として、特定のリンクに対してのクリックを測定したい場合には、以下のように a タグに onclick 属性として記述することで測定ができます。
<a onclick=”gtag("event", "click_link", { link_text: "お申し込みはこちら", link_url: "https://hogehoge.jp/"});” href=”https://hogehoge.jp/”>お申し込みはこちら</a>
GTM を使用する方法
GTM を使用する場合には、「Google アナリティクス 4 イベントタグ」を使用します。
タグの設定は以下の通りです。
■ 測定 ID:データストリームのGから始まる測定ID
■ イベント名:任意の文字列
■ イベントパラメータ:任意で設定
続いてトリガーの設定です。
トリガーは、リンクのクリックを測定したい場合には「リンクのみ」、リンク以外の要素測定したい場合には「すべての要素」を使用します。
「リンクのみ」で設定する場合は以下の通りです。
■ タグの配信を待つ:チェックなし
■ 妥当性をチェック:チェックなし
■ このトリガーの発生場所:任意で設定
カスタムディメンションの登録
HTMLに直接ソースコードを設置する場合でも、GTM 経由で設定する場合でも、イベントパラメータを使用している場合は、カスタムディメンションへの登録を忘れずに行ってください。
イベントパラメータとして測定している情報は、カスタムディメンションに登録しないと GA4 管理画面上で確認することができません。
GA4 の管理画面からカスタムディメンションを登録してください。
登録方法やカスタムディメンションの詳細については、以下の記事で解説していますので、是非合わせてご確認ください。
関連記事:【GA4】カスタムディメンションとは?概要や設定方法、注意点などを解説
測定したクリックイベントの確認方法
クリックイベントを含めて、イベントがどれくらい発生しているかはディメンション「イベント名」を使用して確認できます。
通常の「レポート」機能内では、デフォルトで表示される [エンゲージメント] > [イベント] から確認できます。
クリックイベントを測定する際の注意点
クリックイベントを測定する際の注意点がいくつかありますので、ご紹介します。
GA4 管理画面内の「イベント作成」機能では設定できない場合が多い
GA4 には、管理画面上からイベントを作成する機能があります。
しかし、GA4 管理画面内で作成できるイベントは、すでに測定済みのイベントやイベント パラメータをトリガー条件として作成することしかできません。
したがって、まったく新しいイベントは作成できません。
今回のクリックイベントを例にとると、デフォルトでは、離脱につながるクリックを示すイベント「 click 」などをトリガーとすることしかできないため、自社ドメインに遷移する内部リンクのクリックを測定することはできない、ということになります。
基本的には、クリックイベントを測定したい、という場合には、この記事でご紹介したような HTML ソースコードへの記述か、GTM 経由での設定となります。
イベントパラメータの測定が必須
記事中でもお伝えしましたが、クリックを詳細に分析したい場合には、リンク先の URL やリンクのテキストなどクリックされた要素の情報が欠かせません。
イベントパラメータに情報を記載して、GA4 に送るようにしましょう。
ウェブサイトの更新時に測定の修正が必要になる場合がある
バナーやボタンなど、特定の要素に対してのクリックを測定する場合、GTM のトリガー条件として、CSS セレクタや HTML の id 属性、class 属性を使用するケースが多いです。
このようなトリガーは、条件設定がしやすい一方で、ウェブサイトの更新やリニューアルのタイミングでトリガー条件が適切ではなくなる場合があります。
ページビューとは異なり、自動で取得できるものではないため、クリックイベントはウェブサイトの更新などに応じて都度設定の見直しが必要になる場ありがあります。
クリックイベントに関するよくある質問
GA4 でクリックイベントをどのように設定しますか?
GA4 では、 GTM を使用してクリックイベントを測定するのが一般的です。
GTM でトリガーを作成し、それを GA4 のイベントタグに結びつけることで、特定の要素のクリックを測定できます。
GTM のトリガーにおける「リンクのみ」と「すべての要素」の違いは何ですか?
「リンクのみ」はユーザーがページ内のリンクをクリックしたときに発生させるトリガーです。
一方、「すべての要素」イベントはページ上のどの要素がクリックされても発生します。
目的に応じて、どちらのトリガーを使用するか選択することが重要です。
関連記事:【Google タグマネージャー】これだけは押さえておきたい!鉄板のトリガー3選
特定のボタンのクリックだけを測定するにはどうすれば良いですか?
特定のボタンのクリックを追跡するには、そのボタンに一意の ID やクラスを割り当て、GTM でトリガーをせっていするのが一般的です。
トリガーの条件としてその ID やクラスを指定することで、特定のボタンのクリックだけを測定できます。
その他、リンク先の URL や CSS セレクタを使用する方法もあります。
当社では GTM の設定代行など、タグマネージメントの設定支援も行っておりますので、お悩みの際はお気軽にご相談ください。
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クリックイベントが正しく計測されているかどうかをどうやって確認しますか?
クリックイベントの追跡が正しく行われているかを確認するためには、GTMの「プレビューモード」を利用すると良いです。
プレビューを使用することで、実際にウェブサイトを操作している間にどのタグが発火しているかをリアルタイムで確認できます。
また、 GA4 の「リアルタイム」レポートを見ることで、データが GA4 に送信されているかを確認できます。
さいごに
本記事では、GA4 でクリックイベントを設定する方法について解説しました。
デフォルトで取得されるイベントもいくつかあるものの、限られた条件下でのみの測定であり、詳細な分析を行いたい場合には、独自で追加する必要があります。
また、Google が設定を推奨している「推奨イベント」の中には、いくつかクリックをトリガーとするイベントがあります。
GA4 を最大限活用したい場合には、クリックイベントは必須の設定です。
ぜひ、本記事を参考に設定をしてみてください。
当社では GA4 の設定代行から分析、改善のご提案まで、一気通貫でご支援しております。
・GA4 の使い方が分からない
・アクセスログのデータを活用したい
・改善提案を出してほしい
上記のようなお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
梶井 祥
株式会社グラッドキューブ
プロモーション統括本部 WACA認定上級ウェブ解析士
2019年にグラッドキューブへ入社。同社が開発・提供する AIを搭載したオールインワン LPO ツール「SiTest」のリード獲得やナーチャリングなどのマーケティングに従事。また、SiTest を利用するお客様向けにコンバージョン率の改善を支援。美容・化粧品 EC 、健康食品、士業、金融など、幅広い業種を経験し、特に EC サイトでは月間売上1億円以上のサービスを担当する。 統計検定準1級の資格保持。
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