読んでおきたい人工知能本「人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き」
今回のブログは「人間さまお断り 人工知能時代の経済と労働の手引き」をご紹介します。
人工知能の進歩にともない、人間が機械(人工知能)に雇用を奪われれる時代がいずれ訪れる…それはもう避けられないことなのか、それとも新たな雇用が生み出され、一時的な問題で済むのか。
この本の原題は「Humans need not apply」(人間は応募できません)という求人情報の応募条件をもじったもので、人工知能技術が進み人間の雇用を奪っていくという将来を、より大きな社会の全体像から予見した本です。
本書の背景
原本が発売されたのは2015年8月、著者ジェリー・カプランはスタンフォード大学でAI研究職を経て、その後にシリコンバレーでベンチャー企業GO Corporationを立ち上げた人物です。
人工知能の進歩によって到来する社会は『スター・トレック』であり『ターミネーター』ではないと信じている、と彼は導入(イントロダクション)で述べつつ、その新技術による津波に洗われることは避けようがないとも断じています。
昨今、人工知能の危険性を指摘する議論は深層学習の躍進とともに過熱している気がしますが、SFのような荒唐無稽な未来ではなく、人工知能がもたらす未来の何に対処すべきかについて、「技術分野の起業家」という視点から指摘した本となっています。
画像出典:amazon
本書の魅力
本書の魅力は、技術者、起業家の両方で成功を収めた著者が、人工知能技術そのものよりも、それが実用化した際に起こり得る出来事が、いずれ既存の社会制度と食い違っていくという避けようのない未来について解説(と提言)を試みているところにあります。
よく議論として挙げられる雇用の問題を、単純に「人間が従事する職種が減り雇用が喪失する」(マイケル・A・オズボーン「雇用の未来」)という観点だけでなく、
・人工知能が人間のスキルの価値を陳腐化してしまう問題と教育(新たなスキルの学び直し)について。
・人工知能を活用する企業が富を独占し、経済格差がますます開いていく(もう既に始まっている!)現実。
といった「労働市場と社会の変化」という現実問題として提示し、
また人工知能が罪を犯す(事故なども含む)ことも想定しそれぞれの人工知能は法的に人格を持つべきかといった思考実験や、電子取引における不正などに公平・不公平の人間的感覚を持ち込むことができるかといった論を展開します。
技術の進歩のはてに人間社会が直面するであろう問題を、あくまでも地続きのものとして捉え、その問題への対処を提示しているところがエキサイティングです。
最後に
もう一つの本書の示唆するところとして、本書の解説する経済格差の問題は必ずしも個人間の問題では無く、そのまま国際競争にも置き換えられる、ということです。
すでにGoogle、Facebook、amazonなどで研究が進む人工知能(本書では合成頭脳と呼ばれている)を開発した企業が優位に立ち、ブラックボックス化した電子社会のイニシアティブを取っていくとき、わたしたち日本人、日本企業は同じ土俵で競争してゆくことができるのでしょうか。
巻末の日本語版解説において、松尾豊氏が
合成頭脳では日本は勝てないかもしれないが、労働機械なら勝てる可能性も高い。(がんばれ!)
と日本人の立場として修正しておられるとおり、考えずにはいられませんでした。
以前のエントリ、AIのリテラシーを高めよう!ビジネスマンが読んでおきたい人工知能本5選では、人工知能普及を「チャンス」として学ぶための書籍をご紹介しましたが、本書は避けるべきことの出来ない「変革」を学ぶ書として、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
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