人工知能搭載スマートTVで視聴者はどう変わる? | SiTest (サイテスト) ブログ

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人工知能搭載スマートTVで視聴者はどう変わる?

人工知能を活用したスマート家電は様々なものがリリースされていますが、かねてから期待されているのが「スマートTV」の登場です。
これは消費者にニーズがあり待望されている、といった単純なものではなく、
より良い視聴体験で(自社の)視聴率を上げたい放送局。
コンテンツとコマーシャル、視聴者を最適化させるなどの取り組みを推進したい一部の広告代理店。
他の家庭用大型家電と連携することでサービスを充実させ、自社製品でユーザーを囲い込みたいメーカー
など、さまざまな立場から注目されてきた製品カテゴリです。

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Google、Appleの失敗

すでに2000年代後半ごろからネットと放送の融合を期待する声はあり、ネットインフラの充実やSNSの普及とともに新たな動画ビジネスをどうデザインするか、という取り組みにGoogle(Google TVプラットフォーム)やApple(iTV)も研究開発をすすめていました。

2007年には「Apple TV」が発売されていましたが、一般家庭のリビングに据え置かれるにはまだPCの付属品といった印象が強く、実際に単体のAV機器として価格的にも充実してくるのは「第二世代」の登場から。
また、2010年にはGoogle TVプラットフォームが発表されましたが製品としては不発に終わり、2015年に終了します。

Introducing Sony Internet TV with Google TV(YouTube)
敗因としては立ち上げに時間がかかるなど家電製品として洗練されていなかったこと、予想以上にアプリケーション、独自コンテンツが充実しなかったこと、単純に「TVを見られるパソコン」とさほど変わらなかったことなどが挙げられます。

IT企業の参入が上手くいかない理由

メディアとしてのパワーが落ちてきているとはいうものの、ビジネスモデルとしてほぼ完成しているテレビ市場への参入はGoogle、Appleをもってしても一朝一夕には難しいものでした。
インターネットメディアは基本的にリーンフォワード(画面に対して前傾姿勢)であるのに対し、テレビ視聴はリーンバック(カウチに寄りかかってダラダラしている)と言われます。
技術的な問題より、能動的に情報を収集するか、お気軽に流れてくるコンテンツを受動的に消費するか、というユーザーの態度にどう寄り添うかが焦点だったのです。

遅れていた当時の日本

以前から「スマートTV」を目指した製品はSAMSUNGやLGなど、アジアでも開発が進められていましたが、日本での普及は遅れていました。
たとえば2013年の春にパナソニックが発売した「スマートビエラ」は、まだ人工知能が視聴者をアシストできるような技術はないものの、起動時に放送波の映像とインターネットを同時に並べて表示できるという機能が備わっていました。
しかしこの製品の販売にあたり、民放各社はテレビコマーシャルの放送を拒否。
これは関係業界で定めた技術ルールに違反するということが理由として挙げられており、「テレビ映像を画面全体に映すことが望ましく、他の画面(インターネット動画)が並ぶことはテレビ番組とネットのコンテンツを視聴者に混同させてしまう」というものでした。
結果、一部のインターネットユーザーから民放各局への批判が起き、パナソニックはテレビCMの広告提供から撤退。
WEB限定CM動画を公開するという事態に発展しました。

パナソニック スマート ビエラ│2013 放送拒否CM(YouTube)
製品の問題だけでなく、放送と番組(コンテンツ)を一社が同時に賄う日本ならではの特有のルールなど、様々な事情が存在していたのです。

受動的な視聴者に寄り添う「人工知能」

スマートTVがリビングで受け入れられるには、”受動的で怠惰な”視聴者の好みに適合するコンテンツを精度高くリコメンドすること。
Google TVの失敗からか、その後の動画サービスはユーザーの視聴傾向を分析し、大量のラインナップから視聴者にマッチしたコンテンツをオススメするものが増えてきました。
その代表が、テレビのリモコンに専用のボタンまでつけることに成功した、Netflix(ネットフリックス)です。
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かつて人海戦術で行っていたコンテンツのカテゴリ分け、視聴者データの解析は機械学習を利用して消費者の好みにあったドラマや映画を提案していると言われます。
また、シャープも人工知能技術でユーザーが見たいテレビ番組を教えてくれる「アクオスココロビジョンプレーヤー」を発表しています。

テレビと暮らそう。ココロビジョン:シャープ(YouTube)
視聴者は膨大なラインナップを前に、そのすべてをチェックする時間を確保できなくなっており、自分の好みに合ったコンテンツを探してくれるアシスタントをのぞんでいたということだったのです。

最後に

テレビは単なる家電という枠に収まりきれない製品カテゴリにあるということは、前置きでも述べたとおりです。
不特定多数の視聴者にリーチし、一斉に情報発信が可能なテレビメディアは速報性、社会的影響力が非常に強く、まだ暫くの間は生活者の態度変容に大きな存在感を持ち続けるでしょう。
今後の人工知能による新たな視聴態度の潮流が、映像コンテンツの消費というだけでなくマーケティング分野にも影響を与えることは間違いありません。