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将棋ソフトにみるAIとの生き方

前回「将棋ソフトにみるAI強化の手法」の続きです。

人とAIはどのように関わっていけば良いのでしょうか?
既に人とAIが合わさった将棋の世界を覗き見たいと思います。

将棋の本質

コンピュータが将棋を完全解明したら? 羽生善治三冠の回答という記事で、
1996年、当時の羽生七冠はこう語ったそうです。
「これからは勝ち負けとしての将棋ではなく、本質に迫っていきたいと思う」

また、島朗という天才棋士の一人が1986年〜1990年頃まで、
後に名人位を獲得する若手3人と研究会を行っていました。

【将棋】伝説的研究会 島研【羽生善治】の記事では、
その研究会を振り返ったインタビューの記事でこう語っています。
「いろいろな意味でスケールが違うっていうことを痛感しました。勝利を求めているようで将棋の本質を求めている。未来の将棋を先取りしていたという感じはしました。」

本質を追求する未来の将棋とは一体どんなものなのでしょうか?

本質の模索

将棋には流行や廃れる戦法もありますが、
また見直される戦法も数多くあります。
下記のようなメタゲームに近い応酬もあります。

  • 振り飛車の美濃囲いが優秀
  • 居飛車穴熊や左美濃が流行、振り飛車のカウンター戦法が通用しなくなる
  • 藤井システムという居飛車穴熊や左美濃の玉頭を直接攻める戦法が登場

このように、大昔では将棋は終盤戦だから詰将棋を指そうといった時代から、
中盤を制する戦い方、そして最後には序盤の感覚を養うといった段階まで移り変わってきています。
今日の将棋では開戦の直前に歩を突き捨てて相手に取らせていれば優勢、していないとほぼ負けということもあるシビアな世界です。

また、アマチュア発でも有力な手はどんどん採用されます。
特に有名なのがトマホークという居飛車穴熊を見てから飛車がダイナミックに回り込み、
相手の穴熊を真正面から攻略する手順はプロでも採用されています。

コンピュータ将棋からの新手も次々と採用されています。
コンピュータ発の有名な囲いはBonanza囲いでしょう。
バージョン2のBonanzaは序盤早々に角交換を行うのが大好きで、後の手順をよく考えずにとりあえず角交換を行います。
角交換をした後、Bonanzaは角の打ち込みの隙を減らすために独特の陣形を構築します。
プロの模倣ばかりしていた当時のコンピューター将棋では、自分で勝手にこのユニークな陣形で戦い始める姿が好まれ「Bonanza囲い」という愛称が付きました。
(因みに最新のバージョン6では穴熊がメインで、Bonanza囲いは滅多に見られません)

将棋ソフトも将棋の本質へ

以前の将棋ソフトは定跡DBに登録されている順は評価値+-0として考えてそのレールに乗っかる仕組みを採用していました。
しかし、定跡を抜けた瞬間優勢劣勢がきっぱり出ると言うものも多く存在します。
(将棋ソフト側が)不利になる定跡に誘導して、優勢を維持したまま指し切るというのが一般的な勝ちパターンとされていました。

将棋ソフトの作者は定跡を疑うようになりました。
既に中終盤は機械学習により強力無比になった評価関数は序盤にも適用され始めます。
対局中以外の時間ではいくらでも研究が可能ですので、評価関数を基準に定跡を1手1手奥深くまで読んで確かめます。

やねうら大定跡はじめましたという記事にあるように、
やねうら王という将棋ソフトは自前の評価関数を使った大定跡を作り上げ、「かなりの深さで探索しているため、定跡レベルで不利になることはまずありえないでしょう。」と語っています。
ponanza等の他の強豪将棋ソフトも同様の方式を採用して、不利な定跡に誘導して簡単に勝利することはほぼ不可能となりました。

将棋ソフトも棋士の模倣をやめて将棋の本質へ向かっています。

将棋ソフトとの合作

コンピュータは"生きた定跡"を創り出したか? – 鉄壁の包囲網を突破したGPS将棋の超攻撃的センス「将棋電王戦」第五局という記事では、屋敷九段がこのように語っています。
「△7四歩(図6)から△6四歩というGPSの構想には驚かされました。あんなに細い攻めをつなげてしまうのかと。実は序盤の△7五歩▲同歩△8四銀(図3)の仕掛け自体は、かなり昔に見たことがあったんです。私がまだ奨励会員のころの研究会だったと思いますが、実際に指されたことがありました。しかし、結果は攻めが続かなくて"この手は無理だ"と言っていた記憶があります。だからコンピュータがあの仕掛けから手をつなげてしまったのは驚きました」

佐藤天彦八段が「盤上のシンデレラ」新手?▲5四銀で阿部健治郎六段を破り棋王戦挑決に進出
という記事では、当時流行局面で▲5六銀とする場面で強気な新手を指した佐藤八段の紹介をしています。
その2週間前ではアイドルマスターと将棋を掛け合わせた盤上のシンデレラという二次創作のシリーズとしてニコニコ動画に投稿された動画に、登場人物の一人が「ここで5四銀ってないかな?」と指摘しています。
こうして生まれた新手は登場人物であるアイドルマスターのキャラの名前を取って「楓新手」と呼ばれています。
※シリーズの制作者であるKKPP氏は「新手は棋士が勝敗や名誉を掛けた公式戦で指して初めて実現するものなので、楓新手ではなく佐藤新手や佐藤氏の5六銀と呼ぶようにお願いします」と呼びかけています。
※盤上のシンデレラシリーズは残念ながら公開を中止している為、現在見ることは出来ません

佐藤氏がどのような研究でこの5四銀に行き着いたかは定かではありませんが、
上記局面は流行している為に様々な方が調査や研究をしており、KKPP氏がこの回答を導き出すのに将棋ソフトが用いられたのはほぼ確実です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

既に将棋の世界では人と将棋ソフトが手を取り合って将棋の本質に向かって進んでいます。
これからの時代は将棋の世界にかぎらず、
専門家とプログラマが同じように手を取り合って絶対的な回答を探す旅を始めるのではないでしょうか?

以上、「将棋ソフトにみるAIとの生き方」でした。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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