人工知能やディープラーニングの研究所が世界で増加中。Amazonの音声技術の研究本部は大阪にある？

人工知能を活用した機器やシステムなどの国内市場規模は、2015年時点でIT領域を中心に3兆7,450億円。
今後、技術の発展や実用化が進むことで、さまざまな分野でも市場形成が進むことが予測されています。
EY総合研究所株式会社のレポートによると、2030年には、86兆9,620億円の市場が拡大すると考えられます。
AIは新たなイノベーションの舞台であると同時に、大きなビジネスチャンスであるため、世界中で人工知能の研究所が相次いで設立されています。
今回はその研究プロジェクトの一部を紹介したいと思います。

世界最高レベルの人工知能の研究を行うベクター研究所が今年3月30日にカナダ・オンタリオ州、トロントにオープンしました。
オンタリオ州政府はディープラーニングとマシンラーニングに特化したこの新しいAI研究所を支援するために、10年にわたって5,000万カナダドル（約42億円）を助成すると発表しました。
カナダ政府は、今年度の予算で、1億2,500万カナダドルをAI推進のために「Pan-Canadian Artificial Intelligence Strategy」予算として計上していて、ベクター研究所プロジェクトはその柱の一つになっています。
AI研究所の新設により、カナダで最も多くのAI関連企業・産業が集中しているオンタリオ州がAI研究の拠点として強化され、ディープラーニング分野で世界トップレベルのカナダの地位を一層確実なものにすると期待されています。

Amazonでは、人工知能「Alexa」に対応したホームアシスタント「Echo」を販売しています。
まだ日本では発売はされていませんが、2017年に発売される可能性が高いとウワサされるほどファンからの注目が高まっています。

「Echo」は単に「音楽を自動でかけてくれるちょっと便利なアクセサリー」ではありません。
ハンズフリーの音声認識エンジンを搭載したスピーカー型ホームアシスタントで、パーソナルアシスタントとして様々なサービスと連携することでより多くの「能力」を身につけていきます。
しかも音声認識のレスポンスがとても速く、その速さは1秒を切ります。
賢くスピーディーな音声認識という点に「Alexa」のこだわりが見られますよね。

今年中でなくても、日本での発売が現実味を帯びてきました。
実はアマゾンジャパン合同会社が「日本語音声データを入力・分析する事務」を募集しているのです。
募集情報をみてみました。

世界14か国でビジネスを展開するAmazon。
その日本法人であるアマゾンジャパンでは、Amazon Fire TVのタイトル検索などに使われている音声技術をよりいっそう進化させていくために、2016年10月、大阪に新しい部署を設けました。
今回募集するのは、音声をテキスト化して正しく記録するデータアナリスト（日本語音声データ事務）です。
＜仕事内容＞
・音声技術をさらに高めていくために、実際にお客様が発した言葉の音声データをルールに従ってテキスト化
・どの言葉で検索されるかなどの分析

　
音声技術の進化につながる大切な仕事、と書いてあります。
「音声データといってもお子様の声、聞きなれない方言などさまざま」と社員がインタビューで述べているとおり、
さまざまな音声をデータ化して、音声認識の質を高めていくという意図が見えてきます。

人工知能研究所が増えているなかで、ぞくぞくと人工知能を搭載したサービスや機器が登場しています。
日本語の音声認識の開発に、まさかの大阪で音声認識のデータ収集を行っているとは…
今後の活動に目が離せません。

・EY総合研究所株式会社「人工知能が経営にもたらす「創造」と「破壊」～市場規模は2030年に86兆9,600憶円に拡大～ 」（PDF)
　https://eyi.eyjapan.jp/knowledge/future-society-and-industry/pdf/2015-09-15.pdf
・世界最高レベルの人工知能研究所がカナダ・トロントに開設オンタリオ州、AI研究拠点の強化に向け5,000万カナダドルを助成
　https://www.value-press.com/pressrelease/181044
・アマゾンジャパン合同会社　求人 ※現在求人ページなし